人間の関節というのは、可動性が得意な関節と安定するのが得意な関節の二つに分類することができます。
可動性が得意な関節がしっかりと動いて、安定が得意な関節きちんと安定し、それぞれが協調性を持って働くと人間はとても機能的な動作をすることができます。
Joint By Joint Approachとは
ジョイント・バイ・ジョイントアプローチ(Joint by Joint approach)とは、ストレングス&コンディショニングトレーナーのMichael Boyleと理学療法士のGray Cookによって生み出されたjoint by joint theory(ジョイント・バイ・ジョイント理論)に基づくアプローチです。
可動性が得意な関節を「Mobility Joint」、安定性が得意な関節を「Stability Joint」に分類することができます。
スタビリティジョイントは一面上の動きは得意だがそのほかの動きに対してはあまり可動性がありません。
例えばスタビリティジョイントの一つである腰椎は屈曲と伸展の可動性はあるけど、回旋に関してはほとんど可動性がありません。
股関節、胸椎などは三面上にしっかりと可動性があるためモビリティジョイントに分類されます。
本来安定していて欲しい腰椎が不安定だと腰痛などの症状が出やすくなってしまいます。
そういった方は腰椎のスタビリティ向上のエクササイズをすることに加えて胸椎や股関節の可動性をみていく必要があるでしょう。
スタビリティジョイントの不安定化とモビリティジョイントの可動性の低下は身体機能に様々なデメリットをもたらしてしまいます。
そんな、モビリティジョイント、スタビリティジョイントですが、隣り合う関節はモビリティとスタビリティが交互に来るようになっています。
ヒザ関節(スタビリティ)⇨股関節(モビリティ)⇨腰椎(スタビリティ)⇨胸椎(モビリティ)
といった感じで足から首の方まで順繰りになっています。
個々の関節では機能性に違いがあり、安定性が要求される関節の機能を促進するエクササイズと可動性獲得を目的とする関節の機能を促進するエクササイズとは異なる
Michael Boyle
よくある関節痛のパターンとしてスタビリティジョイントの可動域が多すぎるため代償動作を繰り返して痛みが発生してしまうということがあります。
例⇨腰椎が過剰に反ってしまっている。(反り腰)
一方でモビリティジョイントの可動域が小さいのもまた、怪我や機能的な動きの妨げになってしまいます。
モビリティジョイントの可動域が小さくなる理由が二つあります。
- 軟部組織がタイトになってしまっているケース。
- 動かす筋力やモーターコントロールの能力が低下しているケース
また、この二つに対しては同じアプローチをしてはいけないという注意点があります。
SLRをやってもらい、アクティブの可動域をチェックします。
その後パッシブで行い、可動域があんまり変わらない場合、ストレッチなどの伸張性を刺激するエクササイズでアプローチをしていきます。
逆にアクティブよりパッシブでよく可動域が広がった場合、筋力が弱かったりモーターコントロールの低下が疑われます。
そうした場合、モーターコントロールを改善させる介入(仰向けのまま手をあげてもらいトレーナーが手を頭側に力を加え、クライアントはその逆側に力を加える。体幹を安定させる)ことによってモーターコントロールが改善されやすくなるのでアクティブの可動域が広がるケースがあります。
まとめ
関節は柔らかくとよく言われますが、それは「どの関節かにもよる」ということを理解しておくと今後の健康に役立つかもしれませんね。
今回は以上となります。ありがとうございました。